Philosophy 哲学

人間社会の未来を設計し、それを実行する。

人間社会の未来を設計し、それを実行する。

理念は、私たちが望む未来です。この未来を実現するためには、誰が、いつ、どこで、何度やっても、無理なく機能する仕組みを設計し、それを実行し続けることが必要です。設計だけでは世界は変わりません。実行だけでは再現性は生まれません。設計と実行は、常に二つで一つです。

東京備長の考え方の原点は、大学院で学んだ国際開発工学にあります。国際開発工学とは、工学の知識を使い、国や地域の発展に貢献する事を目的とした学問です。かつては、先進的な技術をもって途上国の発展を支える事に主眼が置かれていましたが、時代の変化とともに、先進国、発展途上国という区分をしなくなり、世界が共通の開発目標を持って、より良い世界を目指すことが主題となってきました。その際たる例が持続可能な開発目標(SDGs)です。

持続可能な開発という考え自体の起源は古く、1987年のブルントランド委員会報告書では、「未来世代の選択肢を脅かす事なく、現代のニーズを満たすこと」と定義しています。

SDGsが一般にも広く認知され始め、目標としていた2030年が近づいてきました。持続可能な開発目標以後、世界にはどんな目標が掲げられるでしょうか。

私たちは、持続可能な開発が抱える本質的な課題は「ジレンマ」にあると考えています。現在の豊かさと未来世代の選択肢、経済成長と環境保全、都市の発展と地方創生、どちらかが立てばどちらかが立たないというジレンマを抱えた構造となっています。私たちは、この構造を捉え直し、繋ぎ合わせを工夫することで、ジレンマを相乗効果に変換する知恵と努力が、SDGs以後における重要な視点であると考えます。

世界は無数の要素によって構成されています。これらの要素を組み合わせて、掛け合わせ、並び替え、ジレンマを解消し、相乗効果を生むようにつなげるには、広く物事を見渡し、いろいろな角度から物事を捉え直し、そのつながりを緻密に設計することが必要になります。

私たちが考える「設計」とは、単に計画することではありません。人、自然、経済、文化や技術など、さまざまな要素の関係を組み立て、望む未来へ向かって自然に循環する仕組みをつくることです。設計があるからこそ、やる人、やる場所、順番や、タイミングによらず結果が期待でき、やがて社会に定着していくと考えます。また、それ以上に、想定外の結果が、世界の裏側に住む人の悲しみや、考えを他にする人との分断を生むようなことがないように十分に想像力を働かせることを大切にしたいと考えています。

設計そのものも、その前提条件も、時代や場所によって絶えず変化します。また世界の無数の要素が互いに影響し合って成り立っているため、すべての要因を事前に把握することはできません。実際にやってみてからではないとわからないこと、実行したその瞬間に現れる課題も多くあります。だからこそ、設計は実行されて初めて意味を持つと考えます。実行から得られた結果からまた設計を改善し、その設計をまた実行に移す。設計と実行は常に二つで一つ、どちらが欠けても不十分であるという考えを持って、理念の実現に取り組みます。